痛みや不安からアルコールに逃げ続けた結果、依存症を自覚した時

薄暗い部屋の中、グラスの向こうに物思いにふける女性の姿

さまざまな依存症

決して肯定しているわけではありませんが、依存症という言葉を見る度に同時に頭に浮かぶ言葉があります。それは拠り所、よすが痛み止めです。依存症について調べてみると、驚くことに代表的なものだけでも、これだけの種類があります。

依存症の種類と英語表現

  • アルコール依存症:alcohol addiction / alcohol dependence
  • 薬物依存症:drug addiction
  • 甘いものへの依存:sugar addiction
  • セックス依存症:sex addiction
  • 仕事依存症:work addiction / workaholism
  • スマホ依存症:smartphone addiction / phone addiction
  • ギャンブル依存症:gambling addiction
  • ニコチン依存症(喫煙):nicotine addiction / smoking addiction
  • カフェイン依存症:caffeine addiction / caffeine dependence
  • ゲーム依存症:gaming addiction / video game addiction
  • 買い物依存症:shopping addiction / compulsive buying disorder
  • 恋愛依存症:love addiction
  • 人間関係依存症(共依存など):relationship addiction / codependency
  • 食べ物依存症(過食など):food addiction / binge eating disorder
  • インターネット依存症:internet addiction
  • 運動依存症:exercise addiction
  • 痛み止め依存症(オピオイドなど):painkiller addiction / opioid addiction
  • 美容整形依存症:plastic surgery addiction
  • 承認欲求依存症:approval addiction / validation addiction

この一覧を見ていると依存は特別な人が陥るものではなく、誰にとっても身近にあるものだという事がわかります。依存の対象はアルコールや薬物のような「物質」だけじゃなく、仕事、恋愛、SNS、人間関係など「行動」や「感情」も依存の対象になります。

つまり「目に見えるもの」だけじゃなく、「心の拠り所」そのものが依存になるという事です。

一見ポジティブに見える仕事、運動、恋愛、美容、承認欲求…。社会的には称賛されやすいことでも、バランスを失うと「依存」に変わってしまう。だからこそ、自分でも気づきにくく、周りも見逃しやすいという問題も見えてきます。

どの依存にも共通して言えるのは

心の痛み」「孤独」「不安」「自己否定」といった感情を和らげようとする動き。

依存とは現代人の癒えない痛みに対する“対処法”だったり、“叫び”だったりする側面があります。完全に依存のない人なんて、もしかしたらいないのかもしれません。

依存症の定義

特定の物質や行為に「やめたくてもやめられない」状態を指し、心身や社会生活に支障をきたす病気。これが依存症の定義だそうです。

特徴として、脳の回路が変化してしまい、自分の意思ではコントロールできずにその行為を繰り返すようになり、より強い刺激を求めるようになるそうです。
そしてそうなると専門的な治療や支援が継続的に必要になるとされています。

自分自身でコントロールができなくなり、自分の命や生活、他の人への悪影響がでるのならば、それはもう依存症としての治療が絶対不可欠であるという事です。

アルコール依存症を自覚した私の体験

私の父方は酒豪一族でした。身内が集まると飲めや歌えやの大騒ぎ一家です。身近に常にアルコールがあり、飲めることはポジティブなことだと思って育ちました。妊娠中と授乳中以外は好きな時に好きなだけ飲む生活でした。

飲まずにいられた期間があるときはまだ依存症ではなかったのだと思います。

休肝日がなくなってきてたのは自覚しながらも、さほど危機感を持たずに毎日飲む生活を続けていました。そんな中で36歳の時です。胃癌が発覚し、胃を切除することになったのです。

胃癌が発覚するまでの経緯

なんとか大手術を終えて命からがら退院してからは、食べることも寝ることもままならず、アルコールを飲むという余裕は一切なかったです。

退院後の悶絶生活

ところが半年ほど経つ頃に少しお酒を飲むと痛みが和らぎ眠れる日がありました。それからは食事をするより痛みや不安からが和らぐお酒を飲んで眠るように。どんどん酒量が増えていきました。

コントロールができなくなる日

食事よりお酒が優先で潰れるまで飲む日が続きました。朝になると記憶がありません。しかも朝からお酒を飲むことばかりを考えるようになっていました。お酒を飲みながら死ねたら本望だ!とすら思っていました。

酔って家族に放った言葉も当の本人は覚えていない…。そんな悲しい思いをさせていました。それならば今夜は飲まずに頑張ろう。と思ってもやっぱり飲んでしまう日々でした。これは…もはや自分でコントロールできてない。ということは私ってアルコール依存症!?と現実を受け入れなくてはならなくなります。時はコロナ禍で自粛生活が始まる時期でした。

断酒を決めてから

2020年の3月末の事でした。家族の悲しみや自分の命の危険をひしひしと感じており、お酒に支配されている自分につくづく嫌気がさしたのです。今日からお酒は卒業する!と決めました。断酒の情報を読み漁り、1日飲まない日を繰り返していくしかありません。

お酒の力で眠っていたので、その夜からは寝汗や吐き気で何度も目が覚めます。離脱症状です。手の震えなどはなかったですがやはり依存症だったんだと感じました。

本当に重度のアルコール依存症になると脳の回路が破壊されてしまいます。そういった人の家族の手記など読み漁り、自分は絶対にこんな思いを家族にさせたらダメだと痛感しました。

  • 飲みたくなると、とにかく炭酸水をのみました。(炭酸水メーカーを購入)
  • 栄養を脳に届けるという意識で食事を作りました。(腸脳相関を勉強し腸活を始めました)
  • 同じような悩みの人たちとSNSで繋がり励まし合いました。(たくさんの情報共有がありました)

現在断酒開始から5年が経ちます。最初の半年はとにかく飲みたい欲求が強かったですが、どんどん楽になりました。そのうちお酒の事は頭からなくなりました。コロナ禍ではアルコール依存症の患者が激増したとニュースでやっていましたが、家にいながら断酒が成功したのも、家族の支えと料理を発信するということに集中する事ができたからだと思います。

休肝日が作れないという人は特に要注意です。後戻りができなくなる前にしっかりとアルコールと向き合うことを強くおすすめします。

アルコール依存症には完治がないと言われています。飲んだら最後、元の木阿弥です。
どんな最後を迎えたいか終わりから考えると飲まない自分が答えでした。

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